加齢に伴ってお肌のたるみが気になり始める方のなかには、糸リフトという方法を思い浮かべることがあると思います。今回は、糸リフトとはどんな方法なのか、メリットやデメリット、リスクはあるのかについて紹介します。糸リフトについてしっかりと理解して、自分にあった施術をする手掛かりにしてください。

糸リフトとは？

糸リフトとは、頭皮から皮膚下にかけて特殊な糸を通す施術を行います。糸によって、物理的にたるんでしまった頬を持ち上げます。

施術で使用する糸は大きく「皮膚内で「溶ける糸」と「溶けない糸」」の2種類に分けられます。

溶ける糸

最近では糸リフトの施術を行うとき、時間が経つと自然と体内に吸収されて抜糸する必要のない溶ける糸を使用するクリニックが多い傾向にあります。

溶けない糸

溶けない糸を使用した場合は、施術後も皮膚内にずっと糸が残り続けるので、長期間糸が物理的に頬のたるみを支え続けてくれます。

ですが、加齢に伴って薄くなった皮膚の場合に糸リフトをするには注意が必要です。

糸が入っている部分がうっすらと線が見えたり、顔全体が引きつったりすることもあります。

糸リフトのメリット

ほかの方法に比べて糸リフトを施術する際のメリットを紹介します。

即効性が高い

糸リフトは、糸を皮膚に通して物理的にたるみを持ち上げるので、施術後にすぐ効果が実感できます。また、もち上げた分だけ見た目の変化に現れやすい方法です。

肌質改善効果

糸リフトで使用している糸は、棘が複数付いています。糸を皮膚内に挿入すると、皮下組織に棘がひっかかかり、これによってしっかりと、皮膚を土台から持ち上げてくれます。

また、棘が刺さることで刺激が細胞に加わることで、美容効果のあるコラーゲンなどの成分の生産を活性化させます。施術してから2か月ほど経過したところで、肌に張りや弾力、潤いなどの肌質改善効が現れ始めます。

たるみの予防にもなる

糸リフトは、たるんでしまっている皮膚を持ち上げるだけでなく、たるみの予防にも今後のために繋がります。

何もしないで放置し続けていると、皮膚や顔の筋肉だけで支えなければならないので、たるみは悪化していきます。糸リフトを施術した後だと、糸が支えるのを手伝ってくれるので、皮膚が引っ張られるダメージを軽減してくれます。

合併症のリスクが低い

糸リフトの施術には切開することがないので、合併症を引き起こすリスクが低いこともメリットです。

ですがいくら低いとはいえ、切るフェイスリフトであっても傷跡がほとんど目立たないクリニックや、糸リフトの場合でも合併症が起きたという実例もあります。一方のフェイスリフト手術では、クリニックや医師の技術面に大きく依存するので、クリニック選びが大切です。

フェイスリフトより手軽

フェイスリフトはメスで切る必要がありますが、それに対して、糸リフトは皮膚を切らずにリフトアップができるので、手軽だといわれています。また、施術後に傷跡が目立ちにくく、ダウンタイムも少ないので、比較的にフェイスリフトよりも安心して受けられるのがメリットです。

糸リフトのデメリット・失敗のリスク

手軽でメリットが多いといわれている糸リフトですが、デメリットや失敗のリスクもあります。デメリットも理解しておくことで、施術した後の失敗を防ぎましょう。

ダウンタイムがある

糸リフトのダウンタイムは、内出血がある場合は1~2週間ほど。すぐに見た目は引き締まりますが、顔がずっと引きつっている感覚が1週間程続くことがあります。

施術後の翌日からシャワーもで、メイクもできます。制限が少ないのが糸リフトのメリットです。

リフトアップ効果が低い

「たるみやシワを”無くしたい”」とフェイスリフト手術を受けた場合、想像よりも得られる効果が低いと感じてしまう可能性も高い傾向にあります。

また、糸リフトの施術によるリフトアップ効果は一定の期間しか継続できずに元に戻ってしまいます。一過性の効果しか得られないという点も糸リフトの大きなデメリットです。

これについては注射やレーザー手術などによるフェイスリフト手術にも共通したデメリットです。

ただし、近年の糸リフトは、施術後に皮下にコラーゲンをたくさん増やして、肌質改善やたるみ予防の効果を発揮してくれます。

ですので、糸リフトの施術後数年たって、リフトアップ効果が薄れてしまったと思えたとしても、実際はたるみ進行やハリ減少を食い止めてくれているので、大きなアンチエイジング効果をもたらしてくれているのです。

仕上がりが不自然になってしまうこともある

糸リフトに限らず美容治療にある話ですが、糸リフトの仕上がりには個人差があります。個々の肌の治癒力はもちろんですが、医師の技術によっても顔の左右で差が出ることがあります。

また、仕上がり以外のリスクについても、手術回数が多いほど大きくなります。施術のなかには繰り返し手術をおこなう糸リフトもあるので、注意して選びましょう。

糸リフトの効果

糸リフトの代表的な効果として広く知られているのはリフトアップです。悩みの部分のたるみを糸で持ち上げることで、シャープなフェイスラインに整えます。

糸リフトの持続時間

糸リフトのリフトアップ効果が持続する期間は、使用する糸によってことなりますが、溶ける糸を使用していた場合で大体1~2年ほどとされています。

皮膚の内部に挿入した糸は、時間経過によって溶けていきます。持ち上がっていたたるみは、糸が溶けてしまうことで徐々に元の位置へ下がっていきます。

皮膚が下がってしまうことは避けられませんが、糸リフトの挿入時に刺激されて増えたコラーゲンなどの美容成分は皮膚内に残って変わらず効果が持続しています。

物理的なリフト作用はなくなっただけで、ハリやキメ・ツヤなどの効果はそのまま持続しています。

糸の本数の目安

糸リフトの施術で挿入する糸の本数は、個人差があります。それぞれの顔の状態や悩みの内容によっても違いますが、平均すると6～12本とされています。極端に多い本数だと、仕上がりなどにもリスクが高まるので、注意しましょう。

糸リフトの費用

糸リフトの費用相場は、1本あたりで20,000円から50,000円ほどになっています。糸を顔の片側に3〜5本ほど挿入するときは、手術費用なども含めて全部で120,000円から500,000円ほどが施術1回にかかる金額として見積もられます。

この費用についても、「どの種類の糸を何処に何本使用するか」によって大きく料金は変わるので、事前にカウンセリングで確認しておきましょう。

クリニックによっては、無料でカウンセリングを受け付けていることもあります。事前に自分の効果を得たい悩みについてや肌質について、施術後の対応についてをしっかりと相談しておきましょう。もしものトラブルの防止やリスクの軽減にも役に立ちます。

糸リフトがおすすめの人

お肌のたるみの治療方法には、糸リフトのほかにもさまざまな種類があります。そんな中でも、糸リフトがおすすめの人を紹介します。メリットやデメリットを理解して、自分に合った方法を選びましょう。

メスを入れずにリフトアップしたい人

「メスを入れるので手術は怖い」「施術後のリスクが怖い」という人にとって、糸リフトはおすすめです。

糸リフトだと、全くメスを使用しないで済むため、リスクも比較的に低く、不安も少なく手術が可能です。

皮下組織に糸を挿入することでたるみをもち上げるので、効果は一時的なものですが、即効性がありしっかりとリフトアップ効果を実感できます。

皮膚が柔らかくて適度に皮下脂肪がある人

皮膚が柔らかい人の方が糸リフトにむいています。脂肪が全くない人だと、施術後に糸が目立ってしまう可能性が高いです。

一方で、脂肪が多すぎると、脂肪の重みが邪魔になってしまい、思うように皮膚をリフトできなくなってしまいます。なので、皮下脂肪はほどよくついている状態の人におすすめです。

適度に皮下脂肪がある人だと、リフト調整がしやすく施術後のバランスを考えやすくなり、仕上がりの不自然さも軽減できます。

リフトアップ効果をすぐに感じたい人

毎日基礎化粧品を使ったり、自分でマッサージをしたり、エステに通ったりしてセルフケアしても、残念ながらすぐにリフトアップ効果を実感できることはありません。エステなら、技術力の高い所の場合だと施術後に多少リフトアップされることはあります。ですが、持ち上がったたるみは重力の影響もですぐに元の状態に戻ってしまいます。

糸リフトだと、施術後すぐにリフトアップを実感できます。コツコツセルフケアに時間をかける必要もなく、物理的にたるみをもち上げるので即効性があります。

ダウンタイムが取れない人

メスをいれて切るフェイスリフトは、糸リフトよりも効果が長期継続しますが、ダウンタイムが必要です。ダウンタイムとは、メスを入れた施術後に生じる症状で、痛みや赤み、むくみ、腫れ、内出血などです。ダウンタイムの期間としては1〜2週間程度が目安になっていて、腫れや浮腫み、内出血の有無については個人差や施術の種類によっても違うので一概には言えません。

そのため、仕事の都合で長期休みを取ることができない人だと、ダウンタイムが2・3日と比較的に短く済む糸リフトがおすすめです。

費用を安く抑えたい人

メスを入れて皮膚を切るフェイスリフトだと高い効果を得られますが、その分費用も高くなってしまう傾向にあります。費用相場として50〜80万円ほどになります。

一方の糸リフトだと、平均相場は7万円前後となっていて、安く抑えられます。最低限目に見える効果を出すためには、だいたい左右3〜4本ずつ必要になるため、20〜30万円の金額に抑えられます。

ですが、施術の種類や肌質によって、挿入する糸の本数や手術の回数が異なるので、最終的にはどれだけの費用がかかるのかを事前に確認しておきましょう。

一度フェイスリフトを試してみたいという人

一度メスを入れるフェイスリフトをしたら、元に戻すことはできません。

一方、糸を使ったフェイスリフトの効果はあくまでも一時的なものです。「メスは入れずにフェイスリフトしてみたい」という人にも向いています。糸リフトは比較的手軽なので、試しやすい方法といえます。

まとめ

糸リフトという施術方法は、メスを入れないので比較的にリスクが低く即効性があることが大きなメリットです。しかし、効果は一時的なことを理解しておきましょう。

メリットやデメリットを理解したうえで、自分に合った悩みの解決方法を選ぶことが大切です。