瞼の解剖図 

【絶対に失敗しないクマ取り選び】「クマ取り・目の下のたるみ取り」の方法を徹底解説

目元のクマのせいで、疲れて見えてしまう…最近、クマが酷すぎて、自分の見た目がどんどん老けてきて気分が落ち込む…

そんな目元のクマにお悩みの方、一度は「クマ改善」「クマ取り」とネットで検索して対処法を調べたことがあるのではないでしょうか?

しかし、検索画面に出てくるのは、有名な美容外科クリニックの広告ばかり。HPに載っているビフォーアフターの写真は、数々ある症例のほんの一部に過ぎず、「本当にそのやり方でみんな上手くいってるの?」と疑問を持ってしまいます。

instagramやTiktokでも、「クマ取り」をテーマとした動画が溢れかえっていますが、たまたま綺麗に仕上がった患者様を投稿に使っている可能性があります。特に、脱脂(目の周りの眼窩脂肪という脂肪をとる方法)のみでクマを治すドクターがSNS上では多く見受けられますが、目元の状態というのは千差万別で、脱脂のみでは限界がある方もたくさんいらっしゃいます

そこで今回は、「クマ治療で失敗して後悔したくない」という方のために、目元の状態に応じた治療法とその特徴、メリットとデメリットについて解説します。

ぜひ最後まで読んでください。

目の下ってどうなってるの?

そもそも目の下の構造はどうなっているんでしょうか?

目の下を取り囲んでいる組織を簡単に図に表すと、以下のようになります。ここでいう眼窩(がんか)とは、いちばん外側を骨として、眼球を取り囲んでいるポケット全体のことを指します。

下の図は、眼窩全体を真横にスライスしてみた図になります。

表の方から順番に、皮膚、眼輪筋(目を閉じる筋肉)、眼窩隔膜(目を出血や感染、炎症から守る壁のような構造物)、そしてクマの原因となっている眼窩脂肪があります。

今度はまぶたの裏側にある結膜からたどっていくと、眼瞼結膜(がんけんけつまく)、CPF(Capsulopalpebral fascfia)という眼窩脂肪を覆う硬い膜、そして眼窩脂肪という順に並んでいます。

眼窩の下を見ると皮膚、眼輪筋、眼輪筋下脂肪(SOOF:sub-orbicularis oculi fat)、骨という順番に並んでいます。

そして、クマの要因は、大きく分けて、

・凸凹による影:
目の下の構造物(上記のもの)のうち、眼窩脂肪が飛び出して膨らみができる、または眼窩脂肪がしぼんだり加齢などによって骨が萎縮して凹みができることによって、凸凹ができて影ができる。生まれつき眼窩の凹みが大きい方、例えば目がぱっちりしている方(”出目”の方が多いです)も、影が濃くなってクマが目立つことがあります。

・色味:
目の下の皮膚あるいは眼輪筋が薄くなり、色素沈着が目立ったり、血行不良による青味が目立ったりする。

の2つがあります。

上の2つに対して、それぞれどういった治療法があるか、説明いたします。

凸凹をならす!

まずは、一つ目の凸凹によってできる影のクマの治し方です。

シンプルに考えて、凸凹を治せば良いわけです。凸凹を治すには、

・膨らみを取る→脱脂

・凹みを埋める→脂肪注入やヒアルロン注入、PRP/FGFなどの成長因子注入

・膨らみの原因である眼窩脂肪を、凹みに移動する(ハムラ法)

という大きく分けて3つのアプローチを考えます。

脱脂

名前の通り、脂肪を取り除く方法です。

眼窩脂肪が取り除かれることで、目の下の膨らみが解消し、影が薄くなります。

メリット

非常に簡便な方法であるため、手術時間・ダウンタイムともに短いです。値段的にも脱脂単体であれば比較的安く済みます。

お若くて肌にハリがある方、凹みが目立たない方には魅力的な施術方法です。

デメリット

単純に脂肪を取り除くだけの処置になるため、皮膚が余り、たるみやシワが増える原因になります

皮膚にハリがある若い方は、脱脂のみでも皮膚のたるみが生じにくいですが、中高年の方になると、脱脂によりボリュームが減ることと、元々の皮膚のハリの弱さが原因で、シワが目立ってしまうリスクがあります。ですので、もし中高年の方で脱脂のみでクマの改善をはかる場合には、取り除く脂肪の量は控えめにするよう意識します。

また、若い方も中高年の方も同様に、脂肪を取りすぎてしまうと、目の下が凹んでしまい、クマが悪化するリスクもあります。

しかも、実は目の下だけではなく、数年~10年後に目の上が凹んでしまった、というケースも最近では見受けられています。眼窩脂肪の総量が減ることで、眼球周りの組織ボリュームが分散し、目の上が凹んでしまうものと考えられます。

一度取った眼窩脂肪は元に戻せず、脂肪注入やヒアルロン酸注入で修正を試みなければならなくなります。

以上より、脱脂術は実は適応がかなり限られている施術になるため、「簡便」「ダウンタイムが少ない」「安い」という魅力にとらわれて、適応でないのに施術を受けてしまうと、思わぬ合併症が引き起こる可能性もあります。

脂肪・ヒアルロン酸注入

凹んでいる部分に、患者さん自身の脂肪(太ももから取ることが多いです)を注入したり、ヒアルロン酸を注入することで、凹みを埋めます。

凹みの場所は、主に涙袋の下側、眼窩縁(眼窩の輪郭部分)、ゴルゴライン(目頭のあたりから頬の中央に沿って斜め下方に入るシワの線)になるため、そこに脂肪やヒアルロン酸を注入し、ボリュームをアップします。

脂肪注入の注入箇所(私の目です)

脂肪注入・ヒアルロン酸注入のメリット

・眼窩縁やゴルゴラインの凹みを埋めることで若返りを期待できます。特に、コンデンスリッチという、脂肪を採取し遠心分離した後の原型に近い脂肪は、ボリュームを補充するのに適している脂肪で、凹みや溝、たるみを改善するために使用されます。

・皮膚にハリを持たせることで厚みが出て、青クマや茶クマなどの色グマにも効果があります。

特に、脂肪注入の中でも、ナノリッチという、採取した脂肪を遠心分離し純度をあげた後、さらに細かく砕いた脂肪は、脂肪の最小単位となっている細胞や、その親である脂肪幹細胞を多く含んでおり、

脂肪注入のメリット

・ご自身の脂肪をとって移動させるため、感染症やアレルギーのリスクが比較的小さくなります。

ヒアルロン酸よりも定着がよく、1年後の生着率は40~80%と言われています(ヒアルロン酸は長くとも1年半でほとんど溶けます)。

脂肪注入のデメリット

・皮膚の浅いところにたくさん入れてしまうと、シコリとなって皮膚がボコついたり、目の膨らみが大きくなってかえってクマが悪化することがあります。

・脂肪の定着率の幅が大きく、時間が経過してからどれくらい定着するのかを正確に予測することが難しくなります。

そのため、注入の際は、どこにどれだけの脂肪を注入するかということに十分注意することがまず重要です。さらに、注入部位の血流を保つために(血流が豊富なほど、注入脂肪に栄養が行き渡り、定着が良くなります)脱脂やハムラ法と併用する場合には、それらの施術による出血や腫れを最小限に抑えることも重要です。

ヒアルロン酸注入のメリット

・脂肪注入よりも金額が安いです。

・脂肪注入のように脂肪吸引を必要としない&脂肪注入よりも細い管で注入するため、腫れが少なく、ダウンタイムもほとんどありません。また、脂肪注入のように体の他の部分から原料を採取するという処置もないため、非常に負荷の軽い治療となります。

ヒアルロン酸注入のデメリット 

・1年〜1年半と、短い期間しか持続しないため、効果を延長させたい場合には、繰り返し注入する必要があります。

・血管塞栓(けっかんそくせん:血管の中にヒアルロン酸が詰まって組織に栄養がいかなくなり、皮膚が壊死してしまったり、かなり稀ですが失明が起きることもあります)のリスクがあります。こちらは、1000人に1人起きるかどうかのごく稀な合併症ですが、起きてしまうと非常に危険です。もちろん、被害を最小限にするために、医師は血管閉塞が起きた時の対応を心得ているはずですが、万が一の事もあることを念頭に置いた上で、治療を受ける必要があります。

ハムラ法

脂肪を取らずに、凹みのあたりに脂肪を移動して凸凹を解消する治療法です。

皮膚側からアプローチする表ハムラ法と、皮膚の裏側(=結膜側)からアプローチする裏ハムラ法の2種類があります。

ハムラ法の原理

目の下の眼窩脂肪を、眼窩縁のさらに下側の骨にまで移動し固定します。剥離(組織の間を剥がすこと)の範囲が広がるため、手術の難易度も高く、迅速かつ丁寧に処理できなければ、腫れが大きくなったり、仕上がりが悪くなってしまいます。そのため、こちらの治療法に慣れているドクターはかなり限られており、多くのドクターは脱脂あるいは脂肪注入を組み合わせた治療法を好みます。

しかし、脱脂のデメリットである凹みやシワ増加、脂肪注入のデメリットであるシコリのリスクなどを全てカバーできる、非常に有効な治療方法になります

ハムラ法は、元々は形成外科医のハムラ先生という医師が、脱脂術の「凹む」「皮膚がたるみ、シワが増える」などの合併症を起こさないよう、生み出された、まさに脱脂術の「上位互換」のような方法ですので、適応は幅広く、非常に優秀かつ再現性の高い治療法と言えます。

皮膚切除:皮膚も一緒に取ってたるみ改善

中高年以上の方は、どうしても皮膚のたるみの影響が強くなるため、上記の脂肪や凹みの対処以外にも、皮膚も一緒に取り除くという方法も付け加えることがあります。

まつ毛の2mmほど下の皮膚を数mm切除し、同時に脱脂やハムラ法で脂肪を移動することで、凸凹も解消します。

「皮膚切除」や「下眼瞼除皺術(かがんけんじょすうじゅつ)」などと呼ばれます。

傷跡は1〜3ヶ月ほどで薄まり、ほとんど見えなくなっていきます。

「傷跡が残るのが怖くて…」という方もいるかと思いますが、まぶたの傷は、他の部位の皮膚と比べて傷が治りやすく、またまつ毛に隠れるため、非常に目立ちにくいです。

再生医療「PRP」「FGF」

「PRP」「FGF」とは、昨今話題となっている「再生医療」の一種です。

PRPとは、患者さんの血液から抽出した「多血小板血漿(P R P)」を患者さんの傷んでいる細胞や組織に注射することで再生する方法です。

FGFというのはその「タンパク質バージョン」といったところで、線維芽細胞増殖因子というたんぱく質を利用した再生医療です。

皮下組織の細胞やタンパク質の増生と再生を促して、皮膚のハリを取り戻す方法です。皮膚のシワだけでなく、目の下の凹み、色クマにも効果があります。

詳しくは、以下のページをご覧ください。

PRP療法、FGF療法のメリット

・細胞を活性化させる作用があり、またコラーゲンなどの皮膚の支持組織を持続的に増やすなど、自然な若返り効果が期待できます。また、その特性から、PRP療法は脂肪注入と併用することで、PRP療法の血管新生作用による脂肪の定着率向上が期待できるとの報告もあります。

・PRP療法は患者さん自身の血液を採取するため、アレルギー反応が起こりにくいとされています。

PRP療法、FGF療法のメリット

・万が一、施術部位の線維芽細胞やコラーゲンなどの弾性組織の増生が過度に起こってしまった場合には、それがしこりとなって残ってしまう可能性があります。

その場合、ステロイド局所注射で消退させるか、もしくは脱脂術と同様の方法で瞼の裏側からアプローチし、取り除くことも考慮しなければなりません。

注入する分量を間違えなければ、そういったリスクは最小限にできますが、ドクターの技量にも左右されるため、経験豊富な信頼できるドクターを選ぶことが重要です。

まとめ

いかがだったでしょうか?

クマの治療法は意外と色々あることがわかっていただけましたでしょうか?

目の下の状態に応じて、クマの治療法には適切なもの、不適切なものに分かれるため、治療法の組み合わせや取捨選択が非常に大事となってきます。

こちらの記事をもとに、クマ治療のクリニック選びや医師選びを検討いただければと思います。


Tags:


Comments

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です